安全書類(グリーンファイル)の解説
作業員名簿の書き方と記入例
公開 2026年10月24日 / 株式会社菩提樹
結論(3行)
- 作業員名簿は、元請が作る施工体制台帳の一部として、現場に入る人ごとに「氏名・生年月日・職種・保険・退職金共済・安全衛生教育・資格」を書く書類です(建設業法施行規則14条の2)。
- 法律で様式は決まっていません。元請から渡された様式(現場では「全建統一様式 第5号」と呼ばれるものがよく使われます)に合わせて書きます。
- 間違いやすいのは保険欄と資格。雇用保険は被保険者番号の下4けた、事業主などで適用除外なら「適用除外」と書きます。
作業員名簿とは(なぜ出すのか)
作業員名簿は、下請の会社が「この現場に、だれが入るか」を元請に知らせる書類です。元請はこれをもとに、現場の安全管理や、建設業法で決められた施工体制台帳を整えます。
国土交通省は作成例のページで、作業員名簿は「建設業法施行規則において、施工体制台帳の一部として作成が義務付けられて」いると説明しています。施工体制台帳に書く事項として、施行規則14条の2第1項は、建設工事に従事する人について次の6つを挙げています(元請の会社の人は2号チ、下請の会社の人は4号チ)。
| 施行規則14条の2で決められた事項 | 作業員名簿でいうと |
|---|---|
| (1) 氏名、生年月日及び年齢 | 氏名・ふりがな・生年月日・年齢の欄 |
| (2) 職種 | 職種の欄 |
| (3) 医療保険・年金・雇用保険の加入等の状況 | 健康保険・年金保険・雇用保険の欄 |
| (4) 中小企業退職金共済法の被共済者であるか否か | 建設業退職金共済制度・中小企業退職金共済制度の欄 |
| (5) 安全衛生に関する教育を受けているときは、その内容 | 雇入・職長・特別教育の欄 |
| (6) 建設工事に係る知識及び技術又は技能に関する資格 | 技能講習・免許の欄 |
あわせて同じ条の「リ」で、1号特定技能外国人と外国人技能実習生が従事しているかも台帳の記載事項になっています。なお(6)の資格は、本人が希望しない場合は台帳への記載から除くと条文に書かれています。
どんな工事で必要になるか
施工体制台帳を作るのは、発注者から直接請け負った特定建設業者で、下請契約の代金の合計が5,000万円以上(建築一式工事は8,000万円以上)になるときです(建設業法24条の8第1項、施行令7条の4)。公共工事では、金額にかかわらず下請契約を結べば作成が必要です(入札契約適正化法15条1項)。
この条件に当たらない現場でも、元請が安全衛生管理や事故のときの連絡のために作業員名簿を求めることがあります。出すかどうか、どの様式かは元請の指示に従ってください。
根拠:建設業法施行規則14条の2/建設業法24条の8/建設業法施行令7条の4/入札契約適正化法15条/国土交通省「作業員名簿(作成例)」
欄ごとの書き方
国土交通省の作成例(エクセル)には、欄の下に書き方の注記が付いています。ここではその注記に沿って、主な欄を順に説明します。元請の様式は欄の並びや名前が少し違うことがありますが、中身はほぼ同じです。
| 欄 | 書くこと | ひとこと |
|---|---|---|
| 作成日・提出日 | 名簿を作った日(変えた日)と、元請に出した日 | 作成日と提出日は別の欄です。直したら作成日も直します |
| 事業所の名称・現場ID | 元請の現場(作業所)の名前 | 現場IDは建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録している場合だけ |
| 所長名 | その現場の所長(元請)の名前 | 自社の社長名ではありません |
| 一次会社名・事業者ID/( 次)会社名・事業者ID | 自社が何次の下請か、その上の一次会社はどこか | 二次なら「(2次)」に自社名。事業者IDはCCUS登録時のみ |
| 氏名・ふりがな | 本人の氏名とふりがな | 外国の方は、元請の指示する表記(カタカナ・ローマ字)に合わせます |
| 技能者ID | CCUSの技能者ID | 登録していなければ空欄でよいと国交省が説明しています |
| 職種 | その人がこの現場でする仕事 | 下の「職種の書き方」を参照 |
| ※欄(記号) | 現場代理人・職長などに当たる人に記号 | 記号の一覧は下の表 |
| 生年月日・年齢 | 生年月日と、作成日時点の年齢 | 18歳未満なら※欄に「未」 |
| 健康保険・年金保険・雇用保険 | 加入している保険の名称など | 次の章で詳しく |
| 建設業退職金共済制度/中小企業退職金共済制度 | それぞれ「有」か「無」 | 注記8のとおり |
| 雇入・職長・特別教育 | 受けた安全衛生教育の内容と日付 | 例:雇入時教育、職長教育、特別教育(足場の組立て等) |
| 技能講習 | 修了している技能講習 | 例:玉掛け、車両系建設機械(整地等) |
| 免許 | 免許や、施工管理技士などの資格 | 注記10:登録基幹技能者、○級○○施工管理技士なども「免許」欄 |
| 入場年月日 | この現場に初めて入った日 | 現場ごとに違う日付になります |
| 受入教育実施年月日 | 元請の新規入場者教育を受けた日 | 受けた後に記入します(新規入場者アンケートも参照) |
※欄に入れる記号
国交省の作成例の注記1では、※欄に次の記号を入れるとしています。
| 記号 | 意味 | 記号 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 現 | 現場代理人 | 作 | 作業主任者 |
| 主 | 主任技術者 | 職 | 職長 |
| 安 | 安全衛生責任者 | 能 | 能力向上教育 |
| 女 | 女性作業員 | 未 | 18歳未満の作業員 |
| 再 | 危険有害業務・再発防止教育 | 習 | 外国人技能実習生 |
| 1特 | 1号特定技能外国人 |
作業主任者については、注記2で「同時に施工されている他の現場や、同一現場においても他の作業個所との作業主任者を兼務することは、法的に認められていないので、複数の選任としなければならない」と注意されています。1人に「作」を付けすぎていないか見直してください。
また注記3で、名簿は各社別に作るのが原則(リース機械等の運転者は一緒でもよい)、注記11で、書き切れない事項は別紙を使ってもよいとされています。
根拠:国土交通省「作業員名簿(作成例)」(作成例のエクセルの注記1〜11)/国土交通省 関東地方整備局「建設工事の適正な施工を確保するための建設業法(令和8.2版)」(作業員名簿【作成例】)
保険欄の書き方(一人親方・高齢の方も)
保険欄は、作業員名簿でいちばん差し戻しが起きやすいところです。国交省の作成例の注記5〜7をまとめると、次のようになります。
| こんな人 | 健康保険の欄 | 年金保険の欄 | 雇用保険の欄 |
|---|---|---|---|
| 会社に雇われている人(社会保険の適用事業所) | 健康保険組合 または 協会けんぽ | 厚生年金 | 右欄に被保険者番号の下4けた |
| 建設国保に入っている人 | 建設国保 | 加入している年金(厚生年金 または 国民年金) | 雇用保険に入っていれば下4けた |
| 事業主・一人親方 | 加入している保険の名称(国民健康保険、建設国保 など) | 国民年金 など加入しているもの | 左欄に「適用除外」(事業主である等により適用除外の場合) |
| 後期高齢者などで国保の適用除外の人 | 左欄に「適用除外」 | 年金の受給者なら左欄に「受給者」 | 状況に合わせて記入 |
| 日雇労働被保険者 | 加入している保険の名称 | 加入しているもの | 左欄に「日雇保険」 |
注記5:健康保険欄には、左欄に健康保険の名称(健康保険組合、協会けんぽ、建設国保、国民健康保険)を記載。後期高齢者である等により国民健康保険の適用除外である場合は「適用除外」。注記6:年金保険欄には左欄に名称(厚生年金、国民年金)、受給者は「受給者」。注記7:雇用保険欄には右欄に被保険者番号の下4けた、日雇は「日雇保険」、事業主である等により適用除外は「適用除外」。
一人親方の場合の注意
- 一人親方は事業主なので、雇用保険は「適用除外」と書くのが注記7に沿った書き方です。空欄のままにしないでください。
- 名簿は各社別に作るのが原則(注記3)なので、一人親方の方の分は、その方の名前(屋号)で別の1枚にするよう求められることがあります。元請の指示に合わせてください。
- 一人親方に工事の一部を請け負わせている場合、それは「下請に出した」ことになります。施工体制台帳を作る現場では、上の会社が再下請負通知書を出す対象になります(建設業法24条の8第2項。相手が許可を持っていなくても対象です)。
教育・資格・職種の欄
雇入・職長・特別教育の欄
注記9では、安全衛生に関する教育の内容(例:雇入時教育、職長教育、建設用リフトの運転の業務に係る特別教育)をこの欄に書くとしています。主なものの根拠は次のとおりです。
- 雇入時教育:人を雇い入れたとき、作業内容を変えたときに行う教育(労働安全衛生法59条1項・2項、安衛則35条)
- 特別教育:危険・有害な業務につかせるときの教育(同法59条3項、安衛則36条)。たとえば足場の組立て・解体・変更(36条39号)、フルハーネス型の墜落制止用器具を使う高所作業(36条41号)、機体重量3トン未満の車両系建設機械(整地・掘削等)の運転(36条9号)など
- 職長教育:建設業などで、新たに職長として作業中の労働者を直接指導・監督する人への教育(同法60条、施行令19条)。受けた日付を書きます
技能講習・免許の欄
技能講習(玉掛け、車両系建設機械の運転など)と免許・資格(施工管理技士、登録基幹技能者など)を書きます。注記4で、資格・免許等の写しを添付することが望ましいとされています。運転免許のように有効期限がある資格は、期限が切れていないかを出す前に確かめてください。期限切れのまま載せると、差し戻しや入場の遅れの原因になります。
職種の書き方
職種は、その人がこの現場で受け持つ仕事を書きます。国交省の作成例では「建築」「配管」のような書き方です。「とび」「土工」「型枠」「鉄筋」「重機オペレーター」のように書くこともあり、法令に決まった職種の一覧表があるわけではありません。元請から職種の区分を指定されていれば、それに合わせます。
- 「職長」「安全衛生責任者」は職種ではなく、※欄の記号(職・安)で表します。
- 同じ人でも現場によって受け持つ仕事が違えば、その現場での職種を書きます。
根拠:労働安全衛生法59条・60条/労働安全衛生法施行令19条/労働安全衛生規則35条・36条
記入例
国交省の作成例の欄に沿って、1人分を書いた例です(氏名・番号はすべて架空です)。
| 欄 | 記入例 |
|---|---|
| 番号・氏名・ふりがな | 1 佐藤 直樹(さとう なおき) |
| 技能者ID | (CCUSに登録していればその技能者ID。なければ空欄) |
| 職種 | とび |
| ※欄 | 職 安 |
| 生年月日・年齢 | 1979年4月18日 47歳 |
| 健康保険 | 協会けんぽ |
| 年金保険 | 厚生年金 |
| 雇用保険 | 雇用保険 (右欄)1234 |
| 建退共/中退共 | 有/無 |
| 雇入・職長・特別教育 | 雇入時教育 2014年4月1日/職長教育 2019年6月12日/足場の組立て等特別教育 |
| 技能講習 | 玉掛け |
| 免許 | (持っている免許・資格を記入) |
| 入場年月日・受入教育実施年月日 | 2026年4月10日・2026年4月10日 |
下の画像は、全建統一様式に沿った内容で作った作業員名簿の見本です(AI番頭 建太くんで出したもの・すべて架空のデータ)。この見本は国交省の作成例より欄が多く、現住所・家族の連絡先・血液型・健康診断などの欄があります。元請の様式にこうした欄があるときは、その様式に合わせて書きます。
健康診断の欄があるときは、直近に受けた健康診断の日付を書きます。事業者は、常時使用する労働者に1年以内ごとに1回、定期に健康診断を行うこととされています(安衛則44条。深夜業などの特定業務に就く人は別の決まりがあります)。
個人情報の扱い
作業員名簿には生年月日や保険の情報など、本人の大事な情報が載ります。国交省の作成例には「本書面に記載した内容は、作業員名簿として安全衛生管理や労働災害発生時の緊急連絡・対応のために元請負業者に提示することについて、記載者本人は同意しています。」という一文が入っています。
- 名簿に載せる前に、何に使うか本人に伝え、同意をもらっておきます。
- 資格の記載は、本人が希望しない場合は施工体制台帳の記載から除くことが条文で認められています(施行規則14条の2第1項2号チ・4号チ)。
- 出したあとの名簿の写しや、資格証のコピーの保管場所を決めておきます。
よくある書き間違い
- 作成日と提出日を同じ欄に書く/作成日を直さない:人が増えたり資格が変わったりしたら、作成日を直します。
- 所長名に自社の社長を書く:所長名は元請の現場の所長です。
- 雇用保険の番号を全部書く:作成例では下4けたです。
- 一人親方の雇用保険を空欄にする:事業主で適用除外なら「適用除外」と書きます。
- 「職長」を職種の欄に書く:職長・安全衛生責任者は※欄の記号です。
- 期限切れの免許をそのまま載せる:前の現場の名簿を写すと起きやすい間違いです。
- 年齢が去年のまま:前の名簿を使い回すと年齢がずれます。作成日時点の年齢にします。
- 受入教育の日付を入場前に書いてしまう:受入教育を受けた後に記入します。
AI番頭 建太くんで作ると
- 職人さんの台帳(生年月日・住所・血液型・保険・技能者ID)に一度入れれば、現場を選ぶだけで作業員名簿が刷れます。現場が変わっても書き写しません。
- 保険の欄は国交省の作成例に合わせ、健康保険と年金保険は名称だけ、雇用保険は被保険者番号の下4けただけを刷ります。技能者ID(建設キャリアアップシステム)は14けたで受け付け、けた数が違うときは保存の時点でお知らせします。
- 「安全書類の期限の見張り」に期限を入れた資格は、名簿に載り、切れていれば赤で出て、出す前の点検で名指しで止めます(それでも印刷することはできます)。健康診断は、受けた日から1年を過ぎると注意が出ます。
- 現場ごとに入れるのは、元請・工期の開始と終了・現場代理人・主任技術者・受け持つ作業の6つです。
- 全建統一様式に沿った内容ですが、様式番号は印字していません。元請が独自の様式やグリーンサイト等の電子提出を指定している場合は、出した紙を見ながら書き写していただく形になります。出るのは紙(印刷)です。PDFは印刷画面の「PDFに保存」で作れます。
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職人さんの情報を入れると、作業員名簿などの紙が刷れる形になります。まず御社の名簿を1枚、無料でおつくりします。
この記事は2026年10月24日時点の法令・資料に基づきます。法令の条文は e-Gov 法令検索、様式の作成例は国土交通省・厚生労働省の公開資料で確かめています。実際の提出書類と様式は、元請の指定に従ってください。
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